ロシア杯

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女子

 シリーズを連勝し、暫定トップでファイナル進出を確定、おめでとう。ショートでは、ダブルアクセルに本来の大きさ・流れがない、最後のレイバックで明らかに時間が足りなくなってしまうなどの問題点があったと思うのですが、曲の変更も視野に入れているようです。フリーでは、フライングシットスピンからの出方、そしてLFOキャメルが絶品だったと思います。最後のスピンは元々レベル3の構成?ですよね。とすれば、全ての要素で狙ったレベルを獲得できたことになり、あとは、全体的なスピードと後半最初のコンビネーションジャンプ。今季、ダブルアクセルとトリプルジャンプとのGOE加点係数が差別化されたことにより、成功時には“3−3Tとソロ2A”よりも“2A−3Tとソロ3”の方が高得点になるという奇妙な逆転現象が生じており、2A−3T(Lo)コンボの威力は増した、というか、最強の構成を組むには一番の近道になった、とすらいっても良さそう。今大会でも4選手が試み、3選手が認定され、高い評価を受けています。安藤選手今季フリーの前半スピン後は、リンクを狭く使いエネルギーを蓄える時間としている様が強く感じられ、後半の一発目には大技が入らないとプログラムが締まらないように感じています。怪我との相談となるでしょうが、なんとか全日本には素晴らしいものを披露してもらいたいです。

 2年連続のファイナル進出を確定させる。先の中国杯ではレベル2だったフリーSlstの片足ステップをやめました。鈴木選手がレベル3に必要なターン・ステップの認定を受けられなかったとは考えづらいので、中国杯での判定は、片足でパターンの半分を踏んでおらず、かつ、上体の使い方も不十分である、というものだったのではないかと想像します。レベル上げの特徴を満たすに十分な上体の使い方をしながら片足ステップを演じるのは、とても難しいことなのだろうと思います。演技終了後の達成感に満たされた表情が印象的でした。演技構成点については、大会による変動が激しいために参考数値の域を出ないのですが、女子の60点(各項目7.50平均)というのはごく一部のトップスケーターにしか与えられない評価という印象を個人的には持っています。このような評価をシーズン序盤に受けたことは、素直にうれしいです。ファイナルでもきっちりと彼女の演技をして、この評価を確固たるものにしてもらいたいです。

  • その他

今大会は、SPでいくつかの迫力ある3−3コンボを堪能できました。フリーでは残念ながら経験の差がはっきりと出る結果となってしまいましたが、ザワツキー選手は、私の好物であるダイナミックなジャンプの持ち主で、今後が楽しみ。そして、マルケイ選手のフリー最初のルッツ。横谷氏が上がりすぎてしまったとおっしゃっていましたが、そのあまりの高さにコマ送りして滞空時間を確認したところ、なんと21/30秒!!!男子選手の4回転並みです。(一般的な女子選手のルッツの滞空時間は17〜18/30秒くらいだと思います。また、ジャンプの高さは滞空時間の自乗に正比例するそうです。)横からの映像が見たかったです。
男子
 4回転に挑んだチャン選手・アボット選手が大きなミスを連発する中、回避したベルネル選手がミスを最小限にとどめて優勝と、改めて4回転ジャンプを入れたプログラムの難しさを痛感させられる大会となりました。アボット選手のフリーは、洗練されていて清潔感があり、かつ、物語の情景が目に見えるようで、今季男子選手のフリープログラムで一番のお気に入りです。羽生選手は、シニアの大きな壁と格闘している最中。滑り込みを重ね、4分半を演じきるスタミナをつけて欲しいです。
追記:チャン選手のCCSpのレベルに関する検索でここにたどり着いた方が何人かいらっしゃるようです。チャン選手SP足換えキャメルスピンは、1.バックエントランス 2.変形(両手を後ろに組んでいる) 3.2の姿勢で8回転 4.チェンジエッジ のレベル4狙いの構成だと思います。ただ、2.の姿勢はほとんどのスペシャリストは変形として認定はしていないようです。今大会も2.が認定されずレベル3となったのではないかと思います。最後のチェンジエッジをせずにLBIのまま8回転(スケートカナダの構成)した方が見栄えも良く高いGOEが期待できると思うのですが、最終的にはチェンジエッジを変形(横向き、又は仰向け)にして、2.に頼らずともレベル4が獲得できる構成を目指しているのかもしれません。