グランプリファイナル(女子)

シーズンベストトップ6が揃うハイレベルな争い。SPではどの選手も60点台半ば以上を出す力をもっており、一つのミスで順位が大きく入れ替わるかもしれません。グランプリシリーズのフリーの滑走順はSPの下位からということもあり、PCSに影響を及ぼす可能性もあります。
キム・ヨナ選手
順当であれば浅田選手との一騎打ち、要素構成・PCSがGPS並みとすれば200点を超える可能性があるのは両選手しかいません。地元開催・三連覇への期待など、かかるプレッシャーは相当のものだろうと思います。プレッシャーを力に変え、持ち味であるスピードと技の精度を存分に発揮した演技を期待しています。
ジョアニー・ロシェット選手
 SP・FS共に非常に密度の濃いプログラムを用意したロシェット選手。今季出場した二大会の演技構成点は、世選メダリストクラスの高い評価を受けています。この大会の結果によっては評価を不動のものに築き上げることになるかも知れません。
浅田真央選手
 NHK杯でルッツジャンプのエッジがクリーンと認められ、サルコウを成功させたことで、仮想ノーミス点で昨季キム選手にやや後れを取っていたSPは並び、(3Aが一回としても)FSではリードしたといって良さそうです。レベルの取りこぼしが多いスピン・スパイラルをきっちりとまとめた演技を楽しみにしています。
カロリーナ・コストナー選手
スピード感満点の幅のあるジャンプ・スパイラル・ステップが持ち味のコストナー選手、生で観戦したい選手の一人です。決まれば加点の約束された質の良いジャンプの持ち主ですので、スピードと軸をうまくコントロールし、安定性を高めた演技を期待したいです。
中野友加里選手
 スケートアメリカ・NHK杯では共に不調が伝えられ、恐らく大きな不安を抱えながらの中で、しっかりと演技をまとめ、改めてその安定感と精神力の強さを見せ付けた中野選手。ただ、これまでの二戦をミス無く演じたと仮定してプロトコルをいじっても180点台前半のスコアにしかなりません。上位進出のためにはやはりトリプルアクセルへの挑戦が鍵となるかもしれません。
安藤美姫選手
 昨季NHK杯→全日本のカルメン、今季スケートアメリカ中国杯のジゼルのように、短期間で別人のように表情・動作が変化する安藤選手。今季の例で見るとジャンプの出来は私にはスケートアメリカの方が良く見え、課題はむしろメンタル面にあるように感じました。ステップ・スパイラル等での勿体無いミスを無くす事、他選手と比較するとやや繋ぎの物足りないフリーの手直しも期待していますが、何よりも生き生きと目を輝かせた演技を見せて欲しいです。
日本スケート連盟発表の今季の世界選手権代表の選考基準は『全日本選手権の上位2名を選出する。残る1名は全日本選手権の順位・内容、当該シーズンの国際大会のベストスコアとその内容を総合的に考慮した上で選考する。ただし、グランプリ・ファイナル・メダリストは最上位1名のみを強化部推薦とする場合がある』となっています。(読み方によっては、最後の1名は四大陸選手権まで持ち越しという解釈もなりたちそうです)今季、女子シングルの国際大会シーズンベストはファイナル出場者がそのまま日本選手全体の上位3名ですから、『残る1名』となりうる資格を有しているのもこの3選手といえそうです。NHK杯で190超のSBを出した浅田選手が選考争いで大きくリードしていると言っていいでしょう。村主選手の復調、鈴木選手の活躍など、全日本でのメダル争いは激しいものが予想されますから、中野・安藤両選手のうち下位の選手は、タイトな日程の中、崖っぷちで全日本に臨むことになるかもしれません。ファイナルでの日本選手の順位関係も大いに気になるところです。