昨日からグランプリシリーズ第六戦、NHK杯が始まりました。今日からはいよいよ女子シングルがスタートします。
 SPでは安藤選手とコストナー選手のハイレベルな争いを期待します。今季GPSでは、力のある選手がミスを最小限に抑えた演技がまだ見られておらず、現段階でロシア杯でのキム選手の63.50点がシーズンベスト記録となっています。両選手が予定通りの構成(3−3含む)をきちんとこなせばTESで40点近い点数は狙えるはずです。TSSで60点台後半は楽に達成できるはずです。
 安藤選手は(私が気づいた)GOEでマイナス評価を受けることが多かった課題をことごとく克服しつつあります。それは、
 1.フリップジャンプをアウトエッジで跳んでしまっていた点(リップ)
 2.シットスピンの腰の位置が高かった点
 3.チェンジフットコンビネーションスピンで軸が不安定であった(特にLBOでのシット→レイバックに移行した直後)点
の3点です。このうち1.と2.に踏み切った直接の原因は今季のルール変更だったかも知れませんが、変更に苦しみ点が伸び悩む選手が多い中、きっちりと対応してきた安藤選手の努力・能力はすばらしいと思います。ひっとしたらルール変更の恩恵をもっとも受けたのは彼女かもしれませんね。(日米対抗戦ではシットポジションがことごとく中間姿勢扱いされてスピンは軒並みレベル1てしたが、スケートアメリカではかなり改善されていました)
 安藤選手のPCSの出方は読めません。世界選手権の優勝を受けて、今季のPCSがどの程度の評価になるかが個人的には非常に興味のある点です。今季のSPをみて、昨季よりもはるかにエッジを使うことがうまくなったな、と感じたました。日米・スケートアメリカ共に演技を台無しにしてしまう転倒があったためにPCSは伸びていません(スケートアメリカで完全アウェーとはいえマイズナー選手よりも低いPCSだったのは個人的にはかなりショックでした)が、地元NHK杯ということでジャッジからの高評価を受けやすいはず。練習通りの力を発揮してこのチャンスを生かしてもらいたいです。
 コストナー選手はおそらく現役選手中最高のスピードを持った選手でしょう。安藤選手のコーチであるニコライ・モロゾフ氏は『コストナー選手が完璧に演技をこなしたら誰も敵わないかも知れない』と言ったそうです。爆発的な助走速度から高く飛び上がるジャンプは流れも良く、決まると心が沸き立ちます。しかし、モロゾフ氏は同時に『イエテボリワールドの表彰台は安藤・キム・浅田の争いだろう』とも言ったようです。コストナー選手の課題はジャンプの不安定さで、私は彼女が完璧にFSを滑りきったのを見た記憶がありません。グランプリ初戦の中国杯でもSPトップのスタートからFSでは83.04点と考えられない崩れ方をして総合3位となり地元トリノでのファイナルに黄色信号をともしてしまいました。ファイナル進出に向けての彼女の目標は優勝、又は165.83点以上の二位となります。練習通りの演技が出来れば高いハードルではないはず。彼女には日本のファンの前で最高の演技をしてもらいたいです。
 最後にマイヤー選手、エリックで中間姿勢認定され無効とされたSPフライングシットスピンをキャメルorアップライトに変更するのか、それともシットそのものが改善されているか注目したいです。