プロトコル
ttp://www.isufs.org/results/gpf0708/
女子
キム選手が優勝しました。演技を見てジャンプの素晴らしさはもちろんですが一つ一つの技を正確に丁寧にこなしているな、と感じました。プロトコルを見ても失敗したジャンプ以外にGOEでマイナスを付けられている項目は一つもなく、それがPCSのSS(スケート技術)の点数を押し上げているのかと思います。
SPでは3F−3Tの予定が3−1(GOE−3で獲得2.9点)になってしまいました。彼女の3F−3T(基礎点9.5)は決まれば2点ほどの加点を獲得できますので8点以上の失点をしておりノーミスなら73点程の得点が出ていた計算になります。FSでは3Loでの転倒で4〜5点の失点、ノーミスで137点前後の得点、SP・FSあわせて210点が現在の構成での彼女の目標点になるのかも知れません。
銀メダルの浅田選手は、SPで助走前に躓きジャンプを跳べないという珍しいミスがありました。新採点方式ではスピン、ステップで手を抜くことは許されず、なおかつ非常に密度の濃いプログラムですので挽回の機会はありませんでした。3−3の失敗による4点弱の失点と考え合わせてノーミス(ルッツはe判定)なら68点前後の点数が出ていた計算です。
FSは恐らく新採点方式始まって以来最高難度のジャンプ構成ではなかったでしょうか。前半のジャンプに細かなミスがあったこと(3〜4点)と、疲れのためか後半はややスピンなどで不安定な面もありましたがあのプログラムを演じきったことは大きな自信につながったことと思います。仮想ノーミス点は137点前後、SP・FS合計で205点前後でしょうか。
コストナー選手が銅メダルを獲得しました。ダブルアクセルでの二度のミス、フリップが1回転になるなどのミスは調子に左右される部分が大きいでしょうが、レベルの取りこぼしが多く、加点も少ないスピンで他選手に大きな差をつけられてしまいました。今後の課題かも知れません。ただ、彼女が地元のプレッシャーに打ち勝ち、笑顔で演技を終了できたことはとても嬉しく思いました。
ジャン選手・中野選手は期待通りの演技を見せてくれました。二人とも非常に安定感があり、落ち着いて演技を楽しむことが出来ましたが、やはりジャンプの加点が低いこと・PCSがなかなか上昇しないことが課題でしょうか。なお、中野選手がロシア杯で受けたルッツではなく、フリップでe判定を受けたことについては後日検討してみたいと思います。(覚えていれば)
マイズナー選手は残念な結果でした。彼女は様々なことに挑戦しています。その成果が現れることを願っています。
全体としては、回転不足判定・スピン等のレベル認定は非常に甘いと感じました。トリノ五輪以降の流れを見ていると、大きな大会では甘くなる傾向があるようです。

男子
ランビエール選手が優勝、高橋選手は残念ながら銀メダルに終わりました。詳しく分析されているサイトの情報によればジャッジ全体の平均点は高橋選手の方が上だったようです。ファイナルでは10人のジャッジからランダム抽選で3人を除外し、残った7名のジャッジの出した最高点と最低点をカットした5人の平均点で得点を計算しています。今回、高橋選手にとっては不運にも除外されたジャッジが全員高橋選手に最高得点を出しており、10人の平均得点は高橋選手の方が勝っていました。これが世界選手権や五輪だったらと思うと複雑な心境です。ですが運も実力の内、高橋選手自身が言っている誰もが認める世界王者を目指して今後も前進を続けてくれるでしょう。世界は目の前です。