四大陸選手権

まもなく、韓国にて四大陸選手権が開催されます。地元のキム・ユナ選手やジョニー・ウィア選手の欠場は残念ではありますが、日本・アメリカ・カナダを初めとする各国で上位選手の派遣が決定しており、ハイレベルな争いが期待できそうです。シングルにおいては男女ともに日本代表選手が大本命として参加します。
高橋大輔選手は、今季の安定した成績によって世界トップクラスの評価を不動のものにしつつあります。今大会では余程のことが無い限り、ライザチェク以外の選手は全く寄せ付けないでしょう。念願のワールド優勝に向けて、2回の四回転の成否はもちろんですが、個人的にはそれよりもスピンの出来が気になります。昨季の初めまでは見られたジャンプの不安定感はいまや消え去り、過去のものになりつつあります。次々と決められるジャンプの後のステップシークエンスはまさに圧巻です。ですが、それらがまぎれもなくトップクラスであるせいか、スピンの細かなミスが目に付いてしまうのです。特にバックエントランス時に多く見られる不安定な軸と、(ほぼ全てのスピンを)終えた後の処理が気になります。
女子は、キム選手の欠場により、事実上浅田真央選手と安藤美姫選手の一騎打ちとみて良さそうです。
浅田選手は、体型変化の影響でしょうか、今シーズンは得意としてきたトリプルアクセルトリプルフリップトリプルループのループジャンプの回転に余裕がなくなっているように見えます。特にトリプルアクセルにおいては、05年全日本選手権での二度のジャンプのような空中で完全に回転を終えて身体を開く余裕がなくなっているようです。このような苦しい状況の中、今季も素晴らしい成績を残してきたのはあのタラソワでさえ舌を巻いたという彼女の努力の賜物でしょう。今季の最終目標である世界選手権金メダルに向けてこれらのジャンプの出来が気になるところです。
安藤選手も、矯正という大きな敵と戦っています。全日本選手権ではNHK杯での不調が嘘のような会心の演技でしたが、それが完璧なものになっていることを今一度確認したいです。更に、四大陸選手権ではクワドサルコウへの挑戦も宣言しています。このジャンプは陣営の(おそらく)最終目標とするバンクーバー五輪女王の座を射止めるための切り札となるはず。とにかく一度新採点方式で認定されたいところです。それがこの四大陸選手権であれば素晴らしいことでしょう。また、彼女にとってはNHK杯FSで低下した評価を取り戻す絶好の機会にもなりうるでしょう。浅田選手と共に、心に残る演技を期待したいです。