スケートアメリカ

23日のスケートアメリカを皮切りに、今季もいよいよシニアのグランプリシリーズが始まります。新たにシニアに加わる若手選手の溌溂とした演技、そして、中堅・ベテラン選手の一層磨きのかかったスケーティングを期待して今から胸が高鳴ります。
 男子シングルでは、実績で抜けたウィアー選手とライサチェク選手に小塚選手とリッポン選手がどこまで迫れるかに注目しています。今季からFSでのスピンが1つ減り、高難度ジャンプの基礎点が上がったことにより、世界レベルの争いにおけるジャンプの重要性はますます高まったと言えそうです。この側面から見れば、ヴァン・デル・ペレン選手にも注目ですね。
ジョニー・ウィアー選手 エヴァン・ライサチェク選手
 世界選手権のメダリストであり、アメリカの東西横綱である両者の直接対決です。共に4回転ジャンプに不安がある点を除けば非常に完成されたスケーターであり、持てる力を発揮すれば二人の優勝争いとなるでしょう。王道の滑りが楽しみです。
小塚崇彦選手
 スケートそのものの技術では十分に世界に通用するものを持っていると思うのですが、昨季まではそれがなかなか演技構成点に結びつきませんでした。原因として、前傾姿勢の時が多く目線が下がりがちであること、そして、ジャンプの軸や着氷にやや不安があり、演技の流れを寸断してしまうことが多かったことがあるのかな、と思います。先日の中部選手権(転倒したものの4回転にも挑戦したようです)のニュースでは“今季はジャンプが安定し、他の部分に気を回せるようになった”とのコメントがありました。進化した小塚選手の演技に期待大です。
アダム・リッポン選手
 パソコンのモニターを通じてしか演技をみたことがありませんが、かもし出す雰囲気やジャンプの着氷などがウィアー選手と似ているな、と感じます。柔らかい身のこなしや指先まで神経の行き届いた腕使いは、ジャッジから好まれそうです。シニアに上がったばかりの選手は演技構成点が低く抑えられる傾向がありますが、どの程度のスコアを彼が獲得するか興味があります。大きな課題であるトリプルアクセルも最近の練習映像を見ると克服しつつあるようです。
最後に、現王者のジェフリー・バトル選手に続いて、二度の世界王者・トリノ銀メダリストのステファン・ランビエール選手の引退が表明されました。残念なニュースではありますが、共に非常に優れたスケート技術の持ち主であり、プロに転向するとすれば、独自の世界を創り出してくれることは疑いようもありません。彼らの華麗なる転身を楽しみに待ちたいと思います。