スケートカナダ(女子FS)

ロシェット選手が優勝。村主選手が二位。シズニー選手三位
プロトコル
ttp://www.isufs.org/results/gpcan08/gpcan08_Ladies_FS_Scores.pdf
ジョアニー・ロシェット選手
 ジャンプで細かいミスがありましたが、その他の要素をきっちりまとめて大差での優勝を果たしました。PCSの60.16点は、ロシェット選手の実績と過去の点数から考えると破格のスコアです。内容を見ていくと、他選手と比較してSS(スケート技術)に対して他の4項目の値が平均化されていることがわかります。これは、ジャンプの前後を含むほとんどの技と技の間にステップ、細かい振り付けをふんだんに取り入れ、ただ滑っているだけの時間を極限まで排除したプログラムを作り、それをきっちりと演じた彼女の勝利だといえるかもしれません。ただ、このスコアは少し出すぎではないかと個人的には思います。次戦はホームとはいえないフランスの地で女王、浅田真央選手との戦いとなります。浅田選手と比較したロシェット選手の評価が気になるところです。
村主章枝選手
 コンビネーションを予定していた後半のフリップジャンプが抜ける大きなミスがありましたが、十分に復活を予感させる演技を見せてくれました。昨季と変わらない踏切にみえたルッツジャンプで“e”“!”判定を受けず、大きな加点を獲得できたことは幸運だったかも知れません。イーグルからのダブルアクセルには高さがあり、半数のジャッジが+2をつけています。他選手の加点の状況も考え合わせると、ジャンプの前後の工夫が大きくGOEを左右しているといえそうです。(これは、今季示されたGOEのガイドラインの影響が大きいのかもしれません)最後のスピンがノーカウントとなってしまいました。フリースケーティングでは、Ⅰ ①単一姿勢②フライング(今回はこれがありませんでした)③足換コンビネーション、のスピンが義務付けられています。また、Ⅱ 同じ略記号(今回はCCoSp)となるスピンを複数回入れることはできません。村主選手はこのルールのどちらにも抵触する勿体ないミスをしてしまいました。今回の結果を受けて、ファイナル進出(次戦ロシア杯で二位以内ならほぼ確実)の可能性が大きく開けてきました。快心の演技で世界に『村主復活』を印象付ける演技を期待しています。
アリッサ・シズニー選手
 見ているだけで幸せな気分に浸れる豊かな表情、ただの一時でさえ退屈させない滑らかなスケートと、圧巻のスピンは素晴らしかったです。しかし、この技術点は正直疑問です。ほとんどのトリプルジャンプの回転が不足気味で、特に冒頭のトリプルルッツトリプルループは前週のスケートアメリカの基準であれば確実に回転不足判定を受けたと思います。昨季も感じたことですが、スペシャリストによって多少の解釈のズレがあることは仕方ないとはいえ、大会ごとにここまで基準が変わるのは大きな混乱の原因となりうると思います。
カロリーナ・コストナー選手
 加点を獲得できたジャンプは中盤のトリプルサルコウダブルループのコンビネーションのみ。大きな武器である+3Tのコンボも不発でした。今回は悪い方のコストナー選手が出てしまった形。53.12点という演技構成点は、特にロシェット選手と比較すると少し低すぎるのではないかと思います。