中国杯(女子)

キム選手が優勝。安藤選手は二位。レピスト選手が三位。
ttp://www.isufs.org/results/gpchn08/
キム・ヨナ選手
 大きなミスはSPでのトリプルルッツのダウングレードがありました。その他にもFSでトリプルルッツのステップアウト、ダブルアクセルのオーバーターン等のミスがありましたがスケートアメリカに続き190点を超えての優勝でした。プロトコルを見て目に付くのはスパイラルの加点の多さです。これは、キム選手のスパイラルの特徴・強みである①流れ・力強さ・張り、と②スピード、がGOE評価の6項目において別の項目になっているのがプラスに影響しているかもしれません。特に支持なしの6秒のポジションの入りのスピード・カーブの深さは素晴らしいと思います。気になるのはシットスピンの評価の低さ。FSSpを採用した7選手中最低の評価(GOE±0.0)となっています。原因として基本姿勢でやや腰が高いこと、回転の速度が遅いことが上げられると思います。これまで彼女の大きな武器になっていたトリプルフリップジャンプに“e”(SP)“!”(FS)がつき正確なエッジで踏み切っていないという判定が下されました。これについては、後日検証してみたいと思っています。
安藤美姫選手
 トリプルフリップ(SP・FS)、3T−3Lo(FS)のセカンドのトリプルループで回転不足判定を受けてしまいました。これは点数にすると15〜16点に相当する大きなミスです。その他のFSのジャンプについてもスケートアメリカ(SA)と比べて回転が幾分足りていないものが多いように感じられましたが、表情や力強さといった点では別人のような演技でした。SAでのつなぎを中心とする低評価を受けて、SPではロッカー・スリーからのトリプルフリップ、FSでは直前に足を置き換えてのトリプルルッツを見せてくれました。どちらもまだ、採り入れたばかりで安定しているとはいえませんが、完全にものにできれば今後においても全てのプログラムで有効に使える大きな武器になると思います。FSのスピンの構成は最強。CCoSp、FCCoSpでは高い評価を受けています。SAでレベル1だったCCSpは①バックエントランス②後ろ手組み③チェンジエッジ④キャッチフットが全て認定されてレベル4を獲得しました。難しい変形に該当する②と④を確実に認定される精度に仕上げることと、2回転ぎりぎりのチェンジエッジを更に安定させ高いGOEを獲得できるようになれば、昨季まで相対的に弱点であったスピンが(少なくともFSでは)見方につく形になりそうです。まだまだ、点数を伸ばす余地はたくさん残されています。