中国杯において、きれいに跳び分けができるとされていたキム・ヨナ選手のフリップジャンプに“e”(重度のエッジエラー)マークがつきました。これから数回に分けて、この件について検証してみます。最初に申し上げなければならないことは、以前の日記でも述べたように私が今でもルッツとフリップの違いは判っていないということです。そこで、こんな考えの人もいるのだな、と参考程度に読んでいただけたらと思います。(判定の付き方をみて、グラグラと考えが揺らいでいる部分もありますので過去の記事と多少矛盾する点もあるかもしれません。)
 検証の第一段階として、これまでの日記のルッツとフリップ1   のまとめ+αのようなことをしてみたいと思います。
 私は、ルッツジャンプの必須要件であり、最大の特徴は踏み切り時にジャンプの回転方向と反対の力がかかっていること−カウンター・ローテーション−にあると思っています。6種類のジャンプの内、ルッツ以外の5種類は全て回転の方向と同じカーブを描いて踏み切ります。(アクセル:LFO、フリップ:LBI、ループ:RBO、サルコウ:LBI、トウループ:RBO)つまり、特に回転力を得ようとしなくても、カーブに乗って踏み切り、身体を閉めるだけで自動的に順回転をしてくれる、ということです。対して、ルッツジャンプは、回転とは反対方向の力がかかっているので、踏み切り時に身体をひねらず正しい位置にトウを突いて身体を閉めると“逆回転のトウループジャンプ”に近い状態になるのではないか、この回転力の得づらさが、ルッツの難しさなのではないかと思っています。

    ルッツジャンプ             ルッツ以外のジャンプ
           ○印≒踏み切り≒トウを突く瞬間 
“カウンター・ローテーション”となるのは、順回転のジャンプを跳ぼうとしているのであれば、踏み切り時に回転とは反対の方向のカーブに乗っていなければなりません。(『踏み切り』がどこを指すのか、明確な答を私は持っていません。ただ、“e”と“!”の違いが『Jump take off with wrong edge“short(!)”“long(e)”』となっているので、『take off』が瞬間ではなく、ある程度の期間を指すことは確かだと思います。)
 さて、これまでエラーがついたジャンプを見ていくと、ルッツにもフリップにもエラーをもらっている選手がいることに気づきます。その理由として考えられるのがトウを突く(≒踏み切りの)前後にカーブが蛇行するということです。

 この画像の赤○の時点で踏み切っていればルッツ(フリップe)、青○の時点であればフリップ(ルッツe)と認定されると思うのですが、緑○での踏み切りではルッツともフリップとも区別のできない、今季でいう“!”に該当するジャンプといえるかもしれません。厳しいスペシャリストであれば昨季まではエラーとしていたのではないかと考えています。(続く:うまくまとめられるか非常に不安です)