四大陸選手権(女子シングル)

プロトコル SP FS
キム選手が優勝、ロシェット選手が銀、浅田選手は銅。村主選手6位、鈴木選手8位
キム・ヨナ選手
 ショートプログラムでは72.24点を獲得、今季GPSのプロトコルを見ても、キム選手のSPは、ノーミスで演じればこの程度の点数が出ると判断して良さそうです。フリーでは、長年の課題であるトリプルループで回転が足らずに転倒。6分間練習では素晴らしいジャンプを降りていましたので残念でした。更に3連続のルッツとダブルループが回転不足判定となりました。演技後半では疲れが出たのかスピンで大きくふらつくなど、珍しいミスが見られました。体力面の課題は簡単には解決できようもない問題ですが、一歩ずつ乗り越えていってもらいたいと思います。
ジョアニー・ロシェット選手
 ショートプログラムでのコンビネーションのファーストをフリップからルッツに変更。これが功を奏したのか今季初のノーミス演技でパーソナルベストをマーク。フリーでは、課題の3T〜3Sシークエンスでトリプルトウループ後のハーフループから直接トリプルサルコウに繋げることが出来ず、判定は3T+SEQ。続く2A〜2Aのシークエンスもファーストがシングルになってしまいました。しかし、今季4戦中3戦で180点を超え、大舞台で確実に表彰台を狙える選手になったといって良さそうです。他のカナダ代表選手にもいえますが、来る五輪に向けて確実に強化が進んでいるのでしょう。
浅田真央選手
 公式練習から不調が伝えられていましたが、SPではルッツがダブルに、コンビネーションのセカンドループも回転が足りませんでした。FSでは、3−3コンビネーションを封印し、単独のサルコウジャンプをループに変更。ルッツ・サルコウトウループと課題のジャンプの成功を見られなかったことは残念ですが、体調がやや思わしくなかったようです。世界選手権までは時間がありますので、調子を整え、万全の体制で臨んで欲しいです。
村主章枝選手
 三度試みたルッツジャンプで全てエラー判定を受けてしまいました。今大会の判定を見てみると、村主選手のジャンプの構成にはSP・FS共にやや疑問が残ります。SPでは、単独のトリプルはステップ/動作の直後に跳ばなくてはならないと規定されていますが、彼女はどのジャンプもやや助走からの間が長く、この規定に抵触しているのかSPでは質は良いと思うのですがフリップジャンプでそれほど加点がもらえていません。そして、ルッツジャンプはいつエラーを受けても仕方の無いエッジで跳んでいますので、結果的にコンボ・ソロの両方でマイナスの評価を受けてしまうことも考えられなくはありません。コンビネーションを3F−2Tに、ステップからのソロを3Lzに変更し、コンボで確実に加点を獲得するやりかたの方が合計点は高くなるような気もします。(昨季のキミー・マイズナー選手と似た理由ですね。)FSでは、フリップジャンプのコンビネーションを後半に行っている点です。『前半3F・後半3F−2T』と『前半3F−2T・後半3F』では基礎点は0.13点しか変わりません。村主選手は今季、国際大会で一度も後半の3F−2Tを成功させておらず、この0.13点を狙いにいって結果的にシークエンス扱いされて大きく基礎点を損してしまっています。
鈴木明子選手
村主選手同様、全てのルッツにエラーがつきました。全米選手権の日記で『今季はどちらかといえばフリップに厳しい傾向』と書きましたが、今大会は打って変わってルッツに厳しい判定でした。(この基準でルッツにエラーがつかなかったことで浅田選手の矯正は順調であるといえるかと思います。)SP・FS共にジャンプでミスがありましたが、出来としてはまずまず及第点のように感じたので、ほとんどのジャッジの演技構成点が6点台と物足りないスコアに集中してしまっている点が残念でした。
最後に、欧州選手権での回転不足判定がかなり厳しい基準と感じられたので、同格である今大会の傾向に注目していたのですが、欧州選手権と比べれば甘めだったと思います。日本選手を応援するという意味で、この程度の基準を世界選手権でも適用して欲しいと思います。(こんなこと言ってはいけないのですけど^^)