四大陸選手権(男子FS)

チャン選手が優勝、ライサチェク選手が銀、小塚選手が銅、織田選手4位、南里選手12位
結果 プロトコル
パトリック・チャン選手
 課題の後半のトリプルアクセルがシングルになった点を除けばほぼ完璧な演技。実に13.50点もの加点を獲得しました。(最後のフライングシットスピンでプラスが揃っている点は、フライングからの入りでフリーレッグをついてしまっていますのでちょっと腑に落ちない点ではありますが。)仮に後半の3A−2T、やや乱れた3Loをきっちり降りたとすると、4回転の無い構成でありながら技術点で90を超えるスコアが出た計算になります。これは演技構成点80.19と合わせて驚異的な数字。全ての要素の質が高く、このところの積極加点の傾向から見ても、ISUが理想とするスタイルの選手なのでしょう。素晴らしい演技でしたので、トップの構成点を出すことは納得なのですが、他選手とは完全に別格の数字(小塚・織田両選手とは9.5点差)です。世界選手権でもこのようなスコアとなるのか注目したいです。
エヴァン・ライサチェク選手
 トリプルアクセルがDGされましたが、残る要素をきっちりとまとめた会心の演技でした。基礎点ではチャン選手を大きく上回りながら、同程度の技術点に止まった最大の原因はジャンプの加点の差です。とは言うものの、加点を獲得したジャンプはライサチェク選手比で決して悪くない質のものであったと思います。そして、スピン・ステップでは高い評価を獲得。ライサチェク選手だけでなく、多くの選手にあてはまりそうですが、技術点で好調時のチャン選手と競うには全てのジャンプを回転不足なく降りて、基礎点で大差をつける必要があるかもしれません。
小塚崇彦選手
 クワドトウループで転倒するも、初めての4回転認定を受けました。プログラムのクライマックス、後半のトリプルアクセルで回転不足の上両足着氷。その他のジャンプでは、昨季まで見られがちだった着氷で重心が前に残り、流れの出ないものがいくつかありました。ジャンプの調子がいまひとつなのかもしれません。ストレートラインステップのレベルが2。レベル要件の一つ、総距離の3分の1以上の両方向の回転(左右合計3分の2以上)がクリアされていないと判断されたのでしょうか。スピンは素晴らしかったと思います。
織田信成選手
 冒頭の4回転で回転不足の上転倒。スローで確認したところ認定されたライサチェク・小塚両選手と同程度(150度前後)の不足に見えたのですが、微妙なラインだったのだと思います。後半のトリプルアクセルでステップアウト、その他のジャンプも好調時の織田選手の着氷・軸ではありませんでしたが、成功した全てのジャンプで1.0以上の加点を獲得しました。4Tコンボを予定していたのか、コンビネーションジャンプ(3連続)の権利を1回放棄してしまいました。今回程度のミスは十分想定の範囲内でしょうから、柔軟な対応力を身につけてもらいたいです。