世界選手権(男子SP)

結果ISU World Figure Skating Championships 2009 - Men
ジュベール選手が首位発進、ライサチェク選手、チャン選手が続く。小塚選手5位、織田選手7位、無良選手13位
ブライアン・ジュベール選手
冒頭の4T−3Tのファースト4Tでお手つき、更にセカンド3Tがステップアウト。セカンド3Tはやや回転が足りていないように見えたのですが、スコアから考えると恐らく認定されていると思います。フリーは最終滑走となりました。世界選手権の最終滑走は、実力者がミスの少ない演技をすれば演技構成点(PCS)が伸びやすい傾向にあると感じています。ライバル選手たちの結果を見た上で演技が出来る点は、百戦錬磨のジュベール選手にとって有利に作用するような気がします。
エヴァン・ライサチェク選手
地元の声援を見事に力に変え、課題のトリプルアクセルを含む全ての要素をしっかりと成功させました。GPSでは低めに抑えられたPCSもジュベール選手と並んで抜けたスコアを獲得。ライサチェク選手というと、どちらかというとショートで出遅れ、フリーで怒涛の追い込みというイメージがあるのですが、今回ははっきりと初優勝を意識しながらの演技となります。ホームということもあり、プレッシャーは相当なものになるでしょうが、素晴らしい演技をして地元の観客を熱狂させる演技を期待しています。
パトリック・チャン選手
ライサチェク選手同様、全ての要素を正確に演じきった演技でした。技術点ではトップのジュベール選手に肉迫するも、PCSで上位2選手と比べ全体的に一段階(0.25)ほど低い評価に止まり3位発進となりました。全体的に慎重に滑っていた印象はありますが、このPCSは今季スケートカナダ四大陸選手権で直接対決をしてライサチェク選手を圧倒したことを考えると意外に感じられました。昨季までの点数の出方を考えると妥当ともいえますが。
小塚崇彦選手
今季、小塚選手のショートプログラムのフリップジャンプは、矯正をアピールするためなのでしょうか、左手のフェンスに沿うような助走で踏み切っています。そのせいか、リンクの横幅の狭い今回そして前回の四大陸はやや余裕が無いように感じられましたが、他の要素はまったく不安なく見ていることができました。スピンは全て素晴らしく、特に最後のコンビネーションスピンは新採点では目にすることの少ない基本姿勢を中心とした個人的に好感度の高い構成で、彼の持つ技術の高さを表していると思います。十分にメダルを狙える位置、フリーでは終盤のトリプルアクセルを何としても成功させて欲しいです。
織田信成選手
先の4大陸選手権と同じ(北米に多いホッケーサイズの)横幅の狭いリンクに対応するため、これまではフェンスに向かって踏み切っていたトリプルアクセルの助走の軌道を変更、リンク中央で踏み切りきれいに着氷しましたが、続くコンビネーションジャンプへの助走距離が短くなってしまったのかセカンド3Tの着氷後にフェンスにぶつかってしまうあまりにも勿体無いミスがありました。その他の要素はサーキュラーステップの入りで躓いたり、コンビネーションスピンの出でやや軸が流れたりといった点はありましたが、気持ちの入った演技だったと思います。つなぎの密度も濃くなっていましたし、これまで感じられたステップでの上半身と下半身がうまく連動していないような動きが改善されたのではないかと思います。最終グループを逃したのは本当に残念ですが、表彰台は十分可能な点差です。フリーでは、織田選手らしい流れのあるジャンプを成功させての大逆転を期待しています。
無良崇人選手
初出場でノーミス70点台13位発進は見事。PCSも滑走順を考えればしっかりと評価されているといえそうです。目標の200点は確実に狙える位置、フリーも伸び伸び滑って欲しいです。
FS滑走順ISU World Figure Skating Championships 2009 - Men
爆発力がありながら、ジャンプの難度を落として無難に演技をまとめきる力をも併せ持つ王者ジュベール選手が最終滑走そしてショートでのPCSトップということで、他の選手達は最高の演技をして彼にプレッシャーを与えることが必要となりそうです。放送を見る限りどの選手もしっかりと大舞台に調子を合わせてきたようで、フリーの演技が楽しみです。