世界選手権(女子SP)

キム選手が大差で首位。ロシェット選手が続く、浅田選手3位、安藤選手4位、村主選手9位発進
SP結果 
FS滑走順
キム・ヨナ選手
ケチのつけようの無い完璧な演技で大量リードの首位発進。演技構成点では4項目で8点台という驚異的なスコア(32.72)を獲得しました。フリーでの大きな得点源、3F−3T、2A−3Tのコンビネーションは今季100%の成功率を誇っており、課題であるトリプルループを封印することは既に四大陸後に宣言しています。スタミナの面では不安が残りますが、PCSではトップクラスの評価を得ることが予想され、後半のトリプルルッツを乗り切れば初優勝の可能性が非常に高くなるといって良さそうです。
ジョアニー・ロシェット選手
コンビネーションジャンプのルッツで一瞬ヒヤッとしましたが、残る要素は不安なく見ていることが出来ました。演技構成点の柱であるSSでは5番手の評価に止まりながら、SS以外の4要素で高い評価を受け2番手となっています。ロシェット選手は、追い上げる他選手と比べるとフリーでの爆発力が無いので、課題の後半の2つのシークエンスを含めてミスを最小限にとどめ、初の表彰台へとつながる演技を期待しています。
浅田真央選手
今季初めてトリプルフリップトリプルループのコンビネーションが認定されました。課題のルッツがダブルになるミス。キム選手との10点という差は、キム選手が大きなミスを重ねない限り逆転は難しいかもしれません。しかし、SPの回転不足基準であればFSでの大爆発は十分可能。70点台後半の技術点を期待してしまいます。昨季までほぼ互角であったキム選手との演技構成点は、今季直接対決では全て遅れをとっており、今日その差がさらに広がりました。何としてもフリーで伸びやかで満足のいく演技をし、構成点の差を縮めて(あるいは逆転して)欲しいです。
安藤美姫選手
冒頭のコンビネーションのセカンドループが回転不足判定。フリップジャンプ前のステップは簡略化しましたが、今季一番の流れだったと思います。フリップは練習でも素晴らしいものを跳んでいたので、感覚をマスターしつつあるのかもしれません。スパイラルのチェンジエッジ後のポジションは全日本同様に背中の反りを抑え、上体を前に倒したポジションで、確実に3秒保持できています。スピンは8回転ルールを有効活用した確実にレベルの取れる構成で、昨季と比べると本当に安心して見ていられるようになりました。3−3は残念ながら不足と判定されましたが、この基準であれば練習で見せるような思い切りをもって跳べば必ず認定されるはず。演技後のインタビューで3−3へのチャレンジを宣言していました。どんな構成なのか楽しみです。逆転表彰台を期待しています。
カロリーナ・コストナー選手
コンビネーションファーストのフリップで手を付き、続くトウループがダブルに、ソロのトリプルルッツは両足着氷。回転が不足しているように見えたのですが、点数的にトリプル認定だと思います。スピンはコストナー選手比で良かったと思います。
村主章枝選手
フリップジャンプでやや着氷が乱れましたが、しっかりと踏みとどまると、後はさすがベテランのまとまった演技。独創的な構成であったレイバックは一般的なレベル3狙いの構成(横→後、8回転、キャッチフット)に変更。村主選手は本当に思わぬミスがないので安心してみていることができます。
 スコアを見る限り、やはり例年の世界選手権と同様、回転不足判定(スペシャリスト)、GOE加点・PCS(ジャッジ)共にかなり甘めのように思えます。比較的甘い回転不足基準は浅田・安藤両選手にとって間違いなく追い風です。SPと同じ基準がFSでも適用されれば、練習で跳んでいるようにできれば、浅田選手の3A、安藤選手の+3Loのコンボ・2A−3Tは、きっちり認定されるはず。一方、積極加点の傾向は全ての要素の質が高いキム選手に有利となりそう。また、積極加点は裏を返せば、着氷時の細かな乱れが相対的に大きな失点につながることを意味しますので、一つ一つの要素を丁寧に演じていくことが重要になりそうです。フリーでは実力者が順当に最終グループ入りを果たしました。この点差ですと、キム選手が優勝を逃すことは彼女が大きなミスを繰り返すことを意味しますので期待はしません。浅田・安藤両選手には最高の演技をしてロシェット選手を逆転し、表彰台に上って欲しいです。普通に演じれば、恐らくそうなると思っています。