世界選手権(女子FS)

キム選手が200点越えで初優勝。ロシェット選手が銀。安藤選手が銅。浅田選手4位、村主選手8位
総合結果 SPプロトコル FSプロトコル
キム・ヨナ選手
後半のサルコウがダブル(更にDG)になるミスがありましたが、それまで得点源のジャンプを確実に成功させており女子初の200超えでの優勝。スピンは今季何度か見られた中盤のコンビネーションスピンでの姿勢変化に伴う軸のずれなどもなく素晴らしかったのですが、最後のスピンがノーカウントとなっています(フラット選手も同じ)。これはフライングシットスピンをフライングスピンと解釈すれば単一姿勢のスピンが、単一姿勢のスピンと解釈すればフライングスピンがなかったということになります。(スケートカナダ女子村主選手の項参照)文句のつけようのない完全優勝でした。来季は、大本命として五輪シーズンを迎えることになります。どのようなプログラム・演技を見せてくれるか楽しみです。
ジョアニー・ロシェット選手
冒頭の3連続の着氷がやや乱れる。ループがダブルに、更に後半のルッツでステップアウト(合計約8点のロス)というミスがありましたが、課題であった後半の二回のシークエンスをしっかりと成功させたことが銀メダルにつながりました。SP同様、構成点ではSS以外の項目の高さが目立ちます。非常に良く練られたプログラムで、しっかりとお休みどころを用意しながらも、技の前後にはこれでもかといわんばかりにつなぎが散りばめられています。ただ、素人目で見る限り、誰にもまねの出来ない程難しいプログラムではなく、滑り込みを重ねることによって似たような構成のものを演じることが出来る選手は少なくないのではなかという気がしています。多くの選手に参考になるプログラムといっていいかもしれませんね。来季は、地元五輪の期待を背負いながらの挑戦となります。カナダ連盟のバックアップも大きいでしょう。さらなる飛躍を楽しみに待ちたいです。
安藤美姫選手
3−3・トリプルフリップを回避し、2A−3Tを取り入れた非常に効率の良いジャンプ構成にがらりと変更、2A−3Tは高さ・流れともに申し分のない質の良いもので、全ジャッジがプラスをつけています。前半・後半とジャンプを固めたプログラムであるがゆえに、目立っていたつなぎの薄さも随分改善されており、それが構成点でしっかりと評価されています。低画質で見たライブでは、後半のトリプルループトリプルルッツの回転がやや微妙に見えた上に、3連続ジャンプが真上からの映像で回転を確認できなかったので祈るような気持ちでスコアが出るのを待っていたのですが、ロシェット選手を逆転することはできませんでした(トリプルループがDGでした)。とはいうものの2シーズンぶりのメダルを獲得、下がり気味だった構成点の評価も一気に取り戻し、五輪シーズンに第一シードでGPSに出場できるのは大きな意味があると思います。演技後のコメントにもありましたが、来季が安藤選手の最後のシーズンとなりそうです。寂しいですが、それだけに最高のプログラムと最高の演技を見せてくれるものと信じています。
浅田真央選手
冒頭のトリプルアクセルからのコンビネーションを成功させるも、二度目のトリプルアクセルで前向きに降りてしまい転倒。回転不足となり、実質0点になってしまいました。浅田選手の3Aコンボは3A着氷後の流れが無く、大きな加点がつくのはソロのほうでしたので、この失敗は大きいです。ソロの3Sを回避し3Loに変更しましたので、後半の3Fコンボのセカンドループがダブルなのは予定通り、この2Loも回転が不足していました。今季の見せ場の一つであったストレートラインステップも素晴らしかったと思うのですが、それがスコア(GOE加点)にそれほど反映されていません。来季は五輪本番、構成の難度だけでなく、完成度の高さも問われます。このステップに割いた時間をつなぎ・スピン等にまわし、演技構成点のSSとその他の4項目の平均化を目的とするプログラム作りというのも有りなのかな、なんて想像しています。
村主章枝選手
サルコウで踏み切りが合わず、1回転半で前向き着氷。課題の後半のフリップからの連続ジャンプが残念ながら決まりませんでした。以前の日記でこの構成のリスクを書きましたが、最近のコメントで村主選手がトップへの返り咲きに並々ならぬ執念を持っていること、そして、僅かでも点数を増やせる可能性があるなら、それに賭ける、というような意気込みを感じました。来季の目標に3−3のコンビネーションの習得を上げています。セカンドにトリプルトウループをつけるには、ファーストジャンプ着氷後、スケーティングレッグの膝を十分に折るまでの(時間的・肉体的な)ためと、高さ・回転力を出すための流れが必要となります。大変な課題ですが、彼女の執念で克服できるものと信じています。