NHK杯女子

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 フリーのミスは冒頭のルッツと転倒したトウループコンボだけなのですが、ここぞという稼ぎどころで何らかの形で全て失点してしまっており、かなり消化不良な演技でした。期待していたつなぎですが、ほとんど変化はなかったようです。スパイラルから後半最初のジャンプとなるサルコウ踏切までに結構な間を取っているのですが、その半分近くが両足での滑走となっているのが特に気になります(ひょっとすると、最終的にはここに大技を入れる予定なのかもしれませんが)。キャノンボールのポジションはしっかりと腰が落とせていて“スケーティングレッグが少なくとも氷面と平行”というシットの要件を完全に満たせるまでに進化してきました。最後のスピンの入りで軸取りに手間取ったことは、安藤選手には珍しいミスです。集中力が切れていたのかもしれません。
手放しで喜べる内容ではありませんでしたが、シリーズ連勝を達成し、ファイナルSPを遅い滑走順で演じられるのは利点。一ヶ月ありますので、じっくりと調整しジャンプの調子を上げていってもらいたいです。
 EXの『夜の女王』、スピード感満点でド迫力でした(カメラワークは最悪でしたが)。やはりスピードがあるとトウジャンプの高さが違ってきます。こちらの記事によれば、変更の可能性もありそう。

 FS冒頭の3T−3T、惜しくもステップアウトしてしまいました。回転はちょうど90度前後の不足、あとちょっと回れればきれいな流れが出せると思います。フリップコンボセカンドのダウングレードは恐らく踏み切り時のチート(トウアクセル)。一つ一つの要素をもう少しずつ丁寧にこなすことで、点数も大きく伸びてきそう。

 FS前半の時点で、優勝の可能性はかなりの確率だと思いましたが、後半のジャンプがまさかの全滅。特に二度のシークエンスでのミスは痛かったですね。無難に難度を落とした構成にせず、最後まで攻める演技には、良い意味で若さを感じました。ロステレコムに続いてスパイラルがレベル3です。秒数保持はどのポジションも問題ないようですので、1メートル以内のチェンジエッジが出来ていないという判定なのだろうと思います。

ルッツをはじめとして、ジャンプの精度が落ちているようです。こちらの記事にあるように、五輪の重圧が知らず知らずのうちにのしかかっているのかもしれません。3枠ある日本、それでいて3枠では足りない日本女子だからこそのGPSでの不振・・・興味深い内容です。
SPではルッツに“e”、FSではフリップに“!”という判定となっています。中野選手のルッツ・フリップは共にトウを振り下ろしている最中はアウトサイドエッジ寄り、トウを突いた瞬間はフラット〜インサイドエッジという鈴木選手と似た特徴を持っているのですが、同じ大会で違った判定がでるというのは、SPとFSで判定の基準を変えているということのように思えなくもなく、少し気の毒に思えます。
次は最終決戦、全日本となりそうです。ひょっとすると、それ以降に出場するどの大会よりも大きなプレッシャーと闘うことになるかもしれません。“根性”で克服して欲しいです。

 今大会はステップのレベル認定が厳しかったですね。唯一レベル3を獲得したファヌフ選手のSPを見てみたところ、ステップの後半で上半身を大きくかがめる動作が4〜5回入っています。今回のテクニカルパネルの、レベル3に必要な『ある程度の上半身の動き』の要求はかなり厳しいものだったと思います。