NHK杯男子

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 ファイナル進出を見据えて、リスクを抑えた確実に降りることが出来るジャンプ構成(3F二回、3S二回)に変更。ジュベール選手はそのような変更に対応し、きっちりとまとめる能力を持っていますから、高橋・アボット両選手がミスを連発した時点でジュベール選手の優勝はほぼ確定していたといっても良いかもしれません。

  • ジョニー・ウィア選手

 独特の表現力を持つ選手。とはいえ、(今季は五輪シーズンということで予想していましたが)SP・FS共にこの見慣れた路線ということで、新鮮味を感じませんでした。今大会でまとまった演技をしたことで、現構成でのスコアの上限が見えたようにも思います。

 全てのジャンプで完全に跳び上がってから回転(身体を閉じる動作)を開始しています。スピン・ステップは改善の余地が残されていますが、先の楽しみな選手です。

 本番を想定した、意欲的なジャンプ構成。高橋選手本来の流れのある単独ジャンプが見られませんでした。スピンでは、仰向けキャメルやキャメル・レイバックでのチェンジエッジといった新しい試みがなされていますが、どれもまだ完全にものにできているとは言えず、スピンのたびに演技の世界から現実の世界に引き戻されてしまうように感じます。体力的な問題もあるとは思いますが、こちらの記事に 
「問題は彼の中にではなく、外側にあります。この一年で体つきも大きく変わったことで、スケート靴のブレードに体を乗せる位置さえも変わってしまった。悩んでいるのは、今の体ではエッジのどこに体重を乗せるのがベストか、ということ。そこでスケート靴との相性など、様々な試みをしているところです。体が変わったことで以前の経験が使えない、という難しさもあって……。でもエッジの問題だけぴたりとはまれば、様々なことががらりと変わるはずです」(長光歌子 コーチ)
 とあります。“様々なことががらりと変わる”時はそう遠くはないはずと信じ、楽しみに待ちたいです。

 ジャンプの好調が伝えられていた小塚選手ですが、思わぬ乱調でSPから更に順位を落としてしまいました。好調であっただけに、4T・3Aと続いたミスに戸惑い、対処ができなかったのかもしれません。全日本での巻き返しに期待です。
 後半のフリップジャンプが回転不足と判定され、サルコウジャンプがトリプルと認定されていることに一瞬“どうして?”と思ったのですが、リンクに描かれている丸いNHK杯のマークを手がかりにジャンプの進行方向を特定すると、このサルコウジャンプは、90度以内の回転不足に納まっていることが判別できます。

地上波の映像では、フリップジャンプの正確な軌道を特定することは困難ですが、恐らくリンクのロングサイドと平行の進行方向に近く、120度前後の不足に思えます。