全日本選手権

高橋選手が復活優勝、浅田選手が4連覇を達成。おめでとう!
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男子

 FSでは単一姿勢のスピンをキャメルからシットに、3−3コンビネーションジャンプをルッツからフリップに変更。この2つの要素は、個人的に気になっていたので、今回の変更には本当に一安心。残すは、4回転とフリー後半の体力面だと思います。演技構成点では、世界のトップクラスに引けを取ることはないはず。五輪は技術点での勝負となるでしょう。あと2ヶ月弱、じっくりと滑り込みを重ね、課題を克服してもらいたいです。

 4回転では転倒しましたが、それ以外の要素をきっちりとまとめた演技が見られました。高橋選手がクリーンに降りたジャンプでGOE+2を並べているのに対し、織田選手には+1が目立っています。織田選手本来の流れが無いものもありましたが、全体的には着氷後の流れ・コンビネーションのリズムでは織田選手、空中での軸・回転の開始といった面では高橋選手に分があるように感じ、その辺のジャッジの好みの差なのかな、と解釈しています。日本開催だったファイナルでのライサチェク選手、そして全日本での高橋選手とのPCSの差は、織田選手にとって厳しい現実を見せられた形となりました。五分に近い点数を獲得するにはノーミスに近い演技が必要になってくるように感じています。SPでは思わぬフリップでの転倒がありましたが、課題は4Tとフリー後半の3Aに絞られていると思います。

 フリー最後のダブルアクセルのミスは勿体無かったですね。本田武史氏が解説していたように、4回転回避の為の変更が原因ですので、五輪本番ではまず起こりえないミスだと思います。昨季前半にみられた流れと安定感のあるジャンプの着氷が影を潜めているのが気がかりです。また、昨季の終盤から国際舞台での演技構成点が伸び悩んでおり、この問題は簡単に解決できるものではないと思うのですが、大舞台で圧巻の演技をし、実績を積むことは大いに効果があるように思います。五輪はその最大のチャンス、順調に調整を重ねてくれるものと期待しています。
女子

 SP・FSを通じ、ほぼミスの無い演技を見せてくれました。ショートのトリプルアクセルは微妙なラインに思え、あれをダウングレードされたことによる心理的な悪影響を懸念していたのですが、フリーでは6分練習を含め、素晴らしいものを降り、その不安を払拭してくれました。五輪に向けて大きな収穫のあった勝利だと思います。

 素晴らしい精神力と演技でした。ループジャンプ後の思わぬ転倒がありましたが、そのアクシデントに動じることなく残るジャンプを次々と降りる様には、鳥肌が立ちました。スパイラルがレベル1。スパイラルは支持無しのポジションが3秒に満たないとそれだけでレベル1になってしまいます。結果次第では悔やんでも悔やみきれないミスになっていたかもしれません。鈴木選手に限ったことではないですが、スパイラルの支持なしポジ、SPでのスパイラルの足換え・コンボスピンの全基本姿勢2回転以上などたった一つを満たせないだけで突如レベルが4から1(またはレベル認定なし)になってしまうという“肝”の部分だけは他を犠牲にしても余裕を持って満たさなければならないと思います。
 有力代表候補としての激しい争いを制して五輪代表入りを果たし、今度は一転、大きなプレッシャーから解放され、挑戦者としての立場となります。世界に発信される鈴木選手の滑りが楽しみでなりません。

 ルッツ・フリップそれぞれ二本という、3Aを除けば中野選手の最強構成での演技。その難しい構成を見事に演じきったと思います。

 SP・FS共に曲を一部変更。SPは冒頭を激しい曲調からゆったりとした荘厳な曲調に変更したにもかかわらず振り付けがほとんどそのままで、かなり違和感を覚えました。これが最もジャンプのタイミングが掴み易いのかもしれません。ストレートラインステップがレベル1。全体的に身体が直立に近くなってしまい、カーブの変更を伴うターン・ステップを中心に過半数が認定されなかったと考えるのが自然のように思います。
FSの変更は、ファイナルでの冒頭数秒間の振り付けのこなしがシーズン当初よりかなり早くなっており、その結果、コンボジャンプの入りが僅かに早まり、着氷後の曲のアクセントとの合わせがイマイチに感じていたものが、私の好きなハッとするような振り付けが加えられ、うまく締まったと思いました。ジャッジ席からの映像を是非見たいです。スパイラルの入りの曲の使い方も個人的に◎。単独のループジャンプのところは助走の入り方からみて、フリップを想定しているように思います。演技後半の稼ぎどころのジャンプで全てミス。ここで14〜5点は失っています。安藤選手自身も、そして荒川静香氏も指摘していましたが、後半のスタミナを何としてもつけ、五輪に間に合わせてもらいたいです。