バンクーバー五輪男子SP

こちらの表の一番右の+マークをクリックすると得点の詳細が表示されます。
第4グループまでは、有力候補が存分に持ち味を発揮し、さすがにどの選手も最高の状態に調整してきているな、と思ったのですが、ランク上位者が競う最終2グループでは、ジュベールアボット・ベルネル各選手が大きなジャンプミスを重ね、メダル争いから大きく後退。
最終組のフリー滑走順ライサチェク 織田 ランビエール 高橋 ウィアー プルシェンコの順。プルシェンコ選手が最終滑走。他選手はベストに近い演技をして、少しでもプルシェンコ選手にプレッシャーをかけたいところ。

 4−3コンビネーションとトリプルアクセルの安定感にはただただ脱帽。見ていて全く不安がありません。演技構成点ライサチェク・高橋・ランビエール選手らと比較すると、滑走順の影響だけとは思えない差がついている点、また、ライサチェク・高橋・チャン選手がステップでレベル4を獲得している点などから考えると、フリーではジャンプ以外の点数で4〜5点のビハインドからのスタートとなるという考えも成り立つと思います。場合によっては二度目の4回転への挑戦が見られるかもしれません。

 曲のアクセントに合わせたステップの振り付けやジャンプ後の間の取り方などが、とても上手いと感じました。サーキュラーステップのレベル4認定は、ターンで正確に踏んでいるようには見えないものがかなり多く、正直驚きました。最終グループの中で、4回転への挑戦の取捨が一番流動的なのが、恐らくライサチェク選手。滑走順は後であれば後であるほど良かったと思うのですが、一番滑走。彼は、3Aまでの構成であれば高確率でまとめることができ、ショートの貯金を考えるとその構成で表彰台に登れる可能性は高いでしょう。しかし、真ん中となると話は違ったものになってくるように思えます。彼の決断に注目しています。

 3−3の連続ジャンプでファーストの流れが出せず、強引にセカンド3Tをつけたのは、東京で行われた世界選手権と同じ。ちょっとヒヤッとしましたが、残りの要素は不安なし。これまでサーキュラーステップで何度か感じた暴走気味なところもなく、よい状態で臨めているように感じています。今季のこれまでの内容を思うと、フリーはひとつのジャンプも気を抜けない状況となるでしょうが、何とか4分半、気力・体力をもたせ、全ての能力を出し尽くして欲しいです。前回の日記で書きましたが、最大のライバルとなるプルシェンコ選手とのジャンプの基礎点の比較では高橋選手が上、プルシェンコ選手が4回転を二度入れる構成にしても五分です。演技構成点においては高橋選手に分があります。金メダルに最も近いのは高橋選手だと信じています。

 素晴らしい高さと流れのルッツコンボの加点が0.6。リアルタイムの得点詳細サイトには“e”“!”の表示がないので、織田選手のルッツにアテンションがついたと考えるのが自然に思えます。織田選手のルッツについては以前指摘したことがあったのですが、一番大切な舞台で取られてしまったのかもしれません。全く同じ構成であるライサチェク・高橋両選手との得点の差は、ステップと演技構成点でついたものです。構成点の遅れは本当につらいですが、フリーは、織田選手にぴったりと合った素晴らしいプログラムでの挑戦となります。4回転を降り、ノーミスに近い内容で、残るライバルたちにプレッシャーをかけてもらいたいです。(心の声:4回転は単独でお願いします。コンボにするなら、ジャンプの回数規定だけには、くれぐれも気をつけて)

 トリプルアクセルがツーフットとなるミスがありましたが、残りのジャンプは今季あまり見られなかった美しい流れを持ったものでした。フリップが0.2の減点となっていますので、こちらも多分アテンションがついたものと思われます。いや厳しい。上位にいるのは強敵ばかりですが、フリーで一つでも順位を上げてもらいたいです。
ショートプログラム、個人的には高橋・ランビエール・チャン選手の演技に心を打たれました。ジャンプ構成とショートでの得点差・演技構成点の出方を考えると、表彰台争いは最終組の6人にパトリック・チャン選手を加えた7人で争われることになりそう。