バンクーバー五輪男子FS

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 4回転を回避。この決断は、プルシェンコ選手の安定感を考えると一つのミスもできないことを意味しますが、その通り後半の3Aの回転がぎりぎりで着氷が僅かに乱れたことを除けば完璧な内容。ライサチェク選手のフリーをまとめ上げる力には、驚かされます。優勝、おめでとうございます。

 こちらの日記に書いたように、プルシェンコ選手の予定していた構成は、4回転のアドバンテージ(フリーで6.3点)を最大限に生かせる構成から4点ほど低いものになっており、3連続が抜けた段階で、4回転の貯金をほとんど使い果たしてしまいました。ジャンプで軸が傾いてしまうミスがいくつか見られましたので、GOEでの勝負となると、フリーでライサチェク選手が上になるのは避けられなかったように思います。

銅メダル、おめでとう。何とか片足で降りてくれ、と願っていた冒頭の4回転で転倒。思わず目を覆ったのですが、続く3Aコンボを美しく決めると、ループは軸が傾いたことを感じさせない滑らかな着氷を見せてくれました。後半は、両手を胸の前で合わせながら、ジャンプを降りるたびに強く握り締めていました。特に、トリプルルッツを挟んだ数十秒間は、その表情や見事な足捌きに魅入り、幸福な気分に浸ることが出来ました。それだけに、二度のコンビネーションスピン、とりわけ演技の最後、盛り上がりが最高潮に達したところで乱れがあったのは残念でした。おめでとうと書きましたが、個人的にはポテンシャルは高橋選手がNo.1だと思っていますので、やっぱり悔しいです。どうしても世界の頂点に立って欲しい。現役続行は嬉しいニュースです。

 4回転を回避。ショートでルッツにアテンションがついたこともあり、挑戦するものと確信していたので、驚きました。練習での確率が相当悪かったのだろうと思います。演技中に靴紐が切れてしまうアクシデントは、事前の備えが足りなかったことが原因のようで、後悔の残る大会となってしまったように思います。

 4回転は、ツーフットになってしまったものの着氷。後半のアクセルで転倒がありましたが、持っている力を存分に発揮した演技だったと思います。ジャンプ以外の要素の加点がやや抑えられているように感じます。技術的には申し分ないと思うのですが・・・ターンの正確さでは群を抜いていると感じるチャン選手のステップシークエンスの評価がいま一つのことなども考え合わせると、身体を大きく使うこと、音をしっかりととらえ分かりやすい形で表現すること、などにも研究の余地が残されているかもしれません。
 高橋・織田・ランビエール選手がこれまでほとんど受けたことのないルッツでの“!”マークをもらい、小塚選手の微妙なフリップにも“!”がつく厳しい判定基準となりました。日本の3選手が食らったこともあり、この傾向がこれからも続くのか、世界選手権で気になる点です。そんな中、フリップジャンプを完全なインサイドに修正してきたチャン選手は見事。ステップでレベル4が出る大会であれば、彼は確実にそれに該当してくることもあり、今回のオリンピックの採点基準が今後の大会に大きく影響するのであれば、これまで以上に怖い存在になりそうです。