バンクーバー五輪女子SP

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フリー滑走順 フラット 安藤 キム 浅田 ロシェット ナガス の順

 直近の試合であったファイナルで3−3が決まらず、フリップが抜けるというミスの影響が全く感じられない素晴らしいジャンプでした。個人的に、全ての要素で減点するところが見当たらす、重箱の隅をつつきにつついて、フリップ前の準備動作が長い・シットスピンが若干遅い・ステップの最後、ツイズルの出でなんというか、微妙につまずいたように見えた、といったところですが、一方で、旧採点SPのファーストマークで6点満点が出るとしたらこういう演技なのかな、と思ったりもしました。とにかく、強い。フリーは大変難しいプログラムですが、ミスを最小限に抑えてまとめることができれば、彼女を負かすのは難しいかもしれません。

 練習を含めて、ここまで完全に回りきったトリプルアクセル(不足45度前後)を最後に見たのは2シーズン前まで遡らなければならないように思います。実は、結局まとまらなくてアップできなかったのですが、昨日今日とニュースで流れた練習映像では、不足がないと言い切れるジャンプが一つもなかったので、浅田選手の3Aと安藤選手の3−3は、ダウングレードの判定基準が甘いことを(願っていけないことはわかっていても)願わざるを得ない状況にあるかもしれない、という内容の日記まで書いていたのです。ところがどっこい、天野真氏も真っ青^^完璧に回転を満たしたジャンプでした。とりこぼしの多かったレイバックスピンも、どのポジションも要求より1回転以上多く回っており、シットのフォアインのポジションもしっかり3回転近くしていました。まさに準備万端。全ての要素において今季最高の状態にあり、『鐘』の究極の形が全世界に発信される予感がしています。そのフリー、ジャンプの基礎点ではキム選手を2点強上回ります。加点においてはキム選手に分がありますが、フリーをまとめてきた実績では浅田選手が上をいきます。

 3−3のセカンドでほぼ前向きに降りてしまいダウングレードのうえフリーレッグがタッチダウン。135度は不足していたフラット選手のルッツが認定されたので、安藤選手の3Lz−3Loは、二度映し出された6分間練習と同じものが出来れば確実に認定されていたはずです。本当に残念。フリップはダウングレードを取られたロステレコム杯と非常に良く似た状態での着氷。気になっていたキャメルスピンでの入りは、しっかりと軸がとれており、スパイラルのフォアインのポジションも不安がありませんでした。ジャンプ以外の要素の出来は、間違いなく今季最高でしたので、それだけに2つのジャンプミスが悔やまれます。3位ロシェット選手との差は、7点弱。ショートでの演技構成点のつき方、FPの密度を考えると、現時点での実質的な差は10点ほどあると考えられるかもしれません。フリーは、上位3選手のスコアを知ることの無い2番滑走。これは、願ってもない滑走順だと思います。回転不足の判定基準は、昨シーズンのスケートカナダ以来の甘さ。これがフリーでも変わらないことを信じて、ぜひとも最高難度のジャンプ構成に挑戦してもらいたいです。
 最高の舞台にふさわしい素晴らしい演技が続出しました。非常に甘い回転不足の判定基準で、最終組では浅田・安藤・フラット・ナガス各選手が相対的に有利になりそう。フリップで痛恨のミスのあった鈴木明子選手も、4位安藤選手までの差は僅か、また、PCSもGPSのような差をつけられてはおらず、大きく順位を伸ばすことは十分可能。