NHK杯(女子SP)

五輪シーズンが終わったなあとしみじみしていたら、本格的なシーズンイン!ついに四十路に突入したせいか、この半年強は本当にあっという間でした。今季、GPS初戦はNHK杯です。
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 フリップからのコンビネーションジャンプ、そしてスパイラルシークエンスが入っていないからか、昨季ほどのスピードは感じられませんでした。コストナー選手というとスピンが弱いという印象があったのですが、速度の速いキャメルの基本姿勢他、とても楽しむことが出来ました。3T−2T・3Loと構成を大きく下げていることから、ジャンプの調子はこれから徐々に上げてゆく段階かも知れません。フリーでは何とかまとめて欲しいです。

 シニアデビューシーズンを強調したはつらつとしたプログラムは、村上選手の持ち味を引き出していると思います。小気味良い動きやスピード感、何よりもあの表情がはじめから出来るのは驚き。3−3セカンドの回転は、スローで見て余裕で足りていると思ったので、不足(UR)との解説があったときはびっくりしたのですが、ファーストジャンプで取られたものと放送されていました。ファーストで取られたにしてもぎりぎりのように感じられ、かなり厳しい基準だと思いました。フリーでは、フリップからの3−3と課題のループジャンプが組み込まれる予定のようです。基準が厳しいので認定されるかはともかく、なんとか片足で降りてもらいたいです。

 これまでフラット選手のフリップは、ターン後にイン→アウト→インと大きく蛇行しながらの踏み切りでしたが、ターン直後(ターン後のインサイドを保ったまま)の踏み切りに挑戦しているようです。かなり良い出来にまで仕上がっているように思います。昨季のルッツに続き、本当に器用な選手だと思います。得点面からみた爆発力はないのですが、ジャンプの安定性は素晴らしいものがあります。フリーが楽しみです。

 彼女の雰囲気、かなり好きです。シットスピンの回転速度にはただただ感動。ジャンプにも工夫が見られ、もう少し技術点が伸びても良いように思うのですが・・・ルッツのエッジやダブルアクセルの着氷で少しずつ点を失っているのかも。

 トリプルアクセルの解禁が裏目に出てしまった形。恐らくダウングレード、そして今季から転倒と同じ扱い(−3 −GOE)となったツーフット着氷で、ダブルアクセルの転倒と同じTESしか獲得できないという結果に。ジャンプのミスが続いてしまいましたが、全体の見直しをしている最中ということですので、いきなりパーフェクトに降りるというのも酷な話です。プログラムの印象としては、少し浅田選手にはあっていないように感じました。コンビネーションスピンのあたりから曲調が一段激しくなるのですが、優雅でゆったりとした身のこなしが染み付いているというのか、メリハリを出すのは少し苦手なような気がします。五輪チャンピオンのペトレンコ氏がプロになってからノリの良い曲で演じた時にも似たような印象を受けたものです。ディダクションはタイムオーバーでしょうか。測ったところ1秒長いような気が・・・そうだとすればもったいないミス。フリーは「愛の夢」。ジャパン・オープンでは曲に遅れてしまったのですが、浅田選手の持ち味を最大限に引き出すプログラムだと思います。

  • フリップの矯正が流行?

フラット選手の項で述べましたが、フリップの矯正は他にも浅田選手・ジャン選手が取り組んでいます。ジャン選手は蛇行だけでなくハイキックの矯正にも着手。練習では不安があったとのこのですが本番は見事成功。節目の五輪が終わり、リスクを承知の上でより質の高いジャンプの習得を目指しているということだと思います。フリップジャンプの語源は英語の“Flip:ひっくり返す。反転する”にあると思うのですが、ターンと一体となっている(=ターンした後のインサイドのカーブを維持したまま踏み切る)ジャンプという解釈も可能だと思います。実際にそのように踏み切っている女子選手はそれほど多くはないのですが、この矯正の流れがNHK杯限定のものなのか、それとも多くの選手が取り組んでいるものなのか、これからも注目していきます。