全米選手権(女子シングル)

プロトコルSP FS
シズニー選手が優勝。フラット選手が二位、ジャン選手三位
全米選手権も欧州選手権同様、プロトコルで気になる点について見ていきたいと思います。
 シズニー選手のSPの足換えコンビネーションスピン(CCoSP:動画3:02)でマイナスをつけたジャッジが4人、−3をつけたジャッジも一人いて目を引きます。SPのコンビネーションスピンの規定を見ると、
(要求事項P87)Spin combination with all the three basic positions (sit, camel, upright or any variation thereof) and with only one change of foot
3種類の基本姿勢(シット・キャメル・アップライトまたはその変形)をすべて含み、足換えは一回のみであること。
(留意事項P90)Spin Combination in the Short Program must have at least 2 revolutions in every basic position.
 ショートプログラムにおけるスピンコンビネーションは全ての基本姿勢で最低2回転しなければならない。
罰則規定P8)Spin Combo SP: Less than required positions (min. 2 rev. in position) -2,-GOE
とあります。動画を見ますと、シズニー選手は最初のキャメルのポジションが2回転していないように見えますし、仮に2回転しているとしても最後の半回転位はRFOで回っているように見えます。以上の点から、今回の判定はマイナスをつけたジャッジが正しいと思っています。
 ジャンプの判定を見ると、ジャン選手が4度試みたフリップジャンプ・ルッツジャンプの全てに“!”(警告または軽度のエッジエラー)がつきました。これまで、ジャン選手はほとんどのルッツに何らかのエラーがつきましたが、フリップで“!”を受けたのは初めてのような気がします。その他の選手を見ても、Lz・F両ジャンプで『逆S字』のトレースから踏み切るナガス選手・フラット選手のフリップにのみ“!”がついています。このどちらかといえばフリップに厳しい判定の傾向は、GPS・GPFでの日本選手(村主・中野・鈴木等)のエラーのつきかたなどからも感じられます。ISU内で何らかの方向性が打ち出されつつあるのかもしれません。今後の動向を注視していこうと思います。